★★★

2004/12/11



 一人一人に用意されたベッドが、ふたり分の重みを受けて泣き喚く。
 神田はぎゅうとシーツを握り締めた。


「い……い加減にしろよジュニアっ……!!」
「んー、何ー?」
 赤みを帯びた髪が頬に当たる。くせのある彼の髪は、神田のそれとは全く違った軌道を辿る。
「なに、じゃねぇっ…何度やったら気がすむ…ッ」
 同じような大きさの手が神田を包み、黒猫は背をしならせた。落とされたキスに、何度も呻く。
「んんぅっ、ん、ふ…、う」
 絡め取られた舌先が、蹂躙されていく。


 侵食、と。


 そういえば一番近いだろうか。
「あ…う」
「欲しい? ユウ」
「い…るかバカッ」
 腰を抱かれ、肌を吸われ、犯されていく。
「いつまで経ってもスナオじゃねーなぁ…さっきはあんなに俺を飲み込んでたのに」
 耐え難い、屈辱。
 耐え難い、快楽。
 侵食された、溶けた脳。
「…んで……こん…なっ…あ」
「なにがよ」
「いつ…もと違ッ…うんだよ…!」
 腕が離れることはない。
 口唇が吸い付かないところはない。
 いつもだったら、最後には。


 最後には額にキスしてオヤスミいい夢を。


「マンネリになんないようにしてやってんじゃん。なぁ?」
「あっ…う……ぃきなり挿れんじゃね…!」
「だってユウ、酷くされんの好きだろ」
 突き上げられる。
 こんな乱暴な抱き方は【彼】らしくなかった。
「だれが……っも、よせッ…!!」
「あー、強いて言うならちょっとムカついてる」
 グイと喉を締め上げられ、片目で見下ろされる。
 その鈍い色の瞳は綺麗だなんて思ったけれど。
「かはっ…」
 酸素を求め、彼の腕を引っかく黒猫。微動だにもせず、普段優しげな彼の瞳が凶悪に揺らめいた。
「気に入らないんだけど」
 神田は声を絞り出す。なにが、と。
 彼は笑って神田を突き貫いた。

 ラビがモヤシ、と言うのと神田の悲鳴とが重なって空気に溶けた────





「で? 結局なんだよ。ヤキモチかよ」
「そうソレ。マジでムカツク」
 気怠い身体を起こし放られたシャツを羽織る。いけしゃあしゃあと音にするラビに、神田は眉を寄せた。
「アホらし…」
「あっは、犯るぞ」
 気に障ったらしいラビが笑顔で神田の肩を掴みベッドに引き戻す。
「待ておい、俺は3時間後に任務が入ってるんだ」
「だから? 平気だろユウなら」
「なんでてめーはそうなんだよジュニア!」
「やべー、ユウちょーカワイイ」
「離しやがれこの性欲魔人ッ!!」
 降りてきた口唇に、神田の抗議は吸い込まれ。
 入り込んできた舌を噛んでやっても、彼はオモシロそうに見下ろすだけだった────