アイノアイサツ

2005/04/10



 ギシリ、とスプリングが軋んだ。
 もう、何度目なのかわからない。
「ラビ……もう無理…」
 奥深くに若い情熱を放たれて、深く息を吐いた。
「ユウ、そのセリフ今日3回目」
 耳元で聞こえる楽しそうな笑い声。そういえば確かに先ほども同じようなセリフを吐いた記憶があ
る。
その度に口唇を塞がれ、押し込まれた。
「いい加減に…しろよバカヤロ…」
 ラビはそんな神田の抗議を聞きもせず、自身を挿れたまま彼の腕を引く。繋がった部分が引き攣れ
て、快感の混じった激痛が背筋を揺るがした。
「ひっあ……!」
「まだイけるさ…ね?」
「急に動くんじゃね…!! 殺すぞ!」
 腰から抱え込むラビを、神田は睨みながら振り仰ぐ。もっとも、潤んでしまった瞳では眼光の威力も
半減していたが。
「ん? どうせ死ぬんならユウの手でイきたいさ? なに? 上の口のがイイ?」
 ずぐり、と入り込むラビを反射的に締め付け、神田は声を上げる。
「んん、イッ……」
「ああ…ほらユウ…ココはすごいさ? 自分から引き込んでる…上も下も、随分おいしそうに飲み込む
ようになってるさ…」
 背中から回された腕に脚を開かされ、抱え上げられる。耳元で聞こえる荒い息遣いと卑猥な呟きは、
神田の羞恥心をかき立てる。そしてそれは、明らかに確信的なものだった。
「ラビ…ちょ…っ無理だって言って…ああ…! あ、あっ…」
「ホラ……そんなに脚開いて」
 ぶるる、と横に【違う】と振られる首。パサパサと、長い黒髪が宙を舞った。
「何が違うんさ? オレはちょーっと手で支えてるだけさ…」
「いやっ……だ、そ……な奥…まで…っえ…」
「ユウが引き込んでんの。オレのせいじゃないさ〜」
 それでも、【絶対違う】と快楽に耐えながら首を振る神田の背を押し、仕方ないなとラビは笑う。
「ユウ、腰上げて」
「ひぅっ…」
 首の根元を片手で包み硬いベッドに押さえつけ、上げさせた腰に己の体重を乗せた。
「ああぁっ…」
 体勢が変わり、抉られる箇所がずれる。疼いた快感に飲まれ、せめて乱れたシーツに縋った。
「やっぱ中…すごいさ…? ユウの身体…エロい…」
「ひ、あ、あっ、んん、く…ふ、ラビ…もっとゆっく…やぁっ…」
「もっと奥…でしょ? ユウ…」
 ギリギリまで引き抜かれ、最奥まで一気に埋められる。慣れた身体とは言え、その衝撃と快楽には
耐える、という僅かな理性さえ吹き飛んで。
「あっ…ラビ…ラビぃ…イ…」
 腰の前後運動が速度を増す。神田は悦楽に潤んだ涙目でラビを振り向いた。
「ラビ……この体勢……嫌だ…っ」
 そうして懇願する。
「オマエの顔見て……イきて…」
「────」
 脳天つくようなアイのコトバにノックダウン。上気した頬にふわりと口づけて、神田の脚を持ち上げ
てゆっくりと体勢を入れ替える。
「ラビ……すき…」
「ユウって朝方意識朦朧としてきた時…嬉しい事ゆってくれるさ…」
 だから自分は、何度も何度も、気が遠くなるまでアイを流し込む。
 そう言って笑ったラビは、優しく優しく口付けながら、ゆっくりゆっくり、アイを埋めこんだ。
「ん…んんぅ…」
「ユウ────愛してるさ」
 そうしてその日何回目かのアイを飲み込むことになって────








「…っていう【夢】ェ、見たんさー?」
 食堂で見つけた神田の横に陣を取り、ラビは彼の肩にぽんと手を置く。
「ほぉ…」
 ちゃきり、と構えられた六幻にも、欲望の前にラビはひるまず。
「ってことで、今夜はオールナイトさ? いっぱいイかしてやるかんな、ユウv」
「刃で斬られたいか、それとも一幻出すか? 選ばせてやるよさぁ選べ」
「だからイくんならベッドの上がいいさ〜」
「貴ッ様あああぁぁぁああぁぁ! 朝からサカんなバカウサギ!!!」
 ふたりの声が、食堂に響き渡る。周りの人間はもはや慣れ、それぞれ朝食を片付けるのに忙しい。
 これがふたりの朝のアイサツ。


 はてさて夜のアイサツは────?