敵じゃない、味方でもない

2005/12/25



 ピピ。
「…こんな時間に、電波飛ばすなバカ…」
 何時だと思ってやがんだ、と思ってもゴーレムに手を伸ばしてしまうのは、恋というほかに名づけようがなかった。



 ────アレンがイノセンスを失くしたんさ。リナリーがすっごいヘコんでてさー。
 ────……アレン?
 ────えーと、モヤシくん。…お前ホントに名前覚えないね。
 ────ふん、モヤシで充分だろ、あんなの。
 ────えー、そうでもないさ? 一緒に任務就いてみたけど、強いぜ? あいつ。ユウもうかうかしてらんないんじゃねーの。
 ────いらぬ世話だ。しかし、どうやったら寄生型のイノセンスを失くすんだ。バカか。
 ────敵さんにスゴイのがいてさー。ノアの一族ってヤツ?
 ────…ノア? 初耳だな。
 ────あーえーとノアって言うのは…。
 ────いい、言わなくて。覚えられん。
 ────あはは、やっぱり。
 ────で、今度は何処なんだ。クロス元帥はまだ見つかってねぇんだろ?
 ────あーそうそう。日本にいるらしいんで、ちょっと行ってこようと。
 ────…日本?
 ────ユウの、故郷だよね。一緒に行けたら良かったのに。いつか、ふたりで行こ。
 ────………おい、ラビ。
 ────ん?
 ────さっきから思ってたんだが、お前。【こっち】に依存しすぎじゃねェのか。
 ────……そうかな。
 ────間違えんなよ。お前は歴史を記録する者なんだぜ。
 ────わかってるさ、さっきジジィにも言われた。
 ────あんま、依存すんな。お前は俺たちの敵でもねぇし、味方でもねぇんだ。
 ────ユウ、それでもオレは…ユウを
 ────バカ、言うな、それ以上。
 ────………ごめん。


 ────まぁ俺は愛しているけどな、お前のこと。


 ────…!! ユウ、それはズルイさっ! オレだってユウのこと愛してんのに!
 ────くくく、悔しかったら、ちゃんと生きてここに来い。
 ────…ユウ。
 ────そんで、俺のことちゃんと抱いとけ。
 ────……次逢ったとき、覚悟してるといいさ?
 ────途中でヘバんなよ、バカ兎。
 ────ユウちゃんこそ。
 ────じゃあ、またな。切るぞ。
 ────うん、また。愛してるさユウ。



 ピ。
 「…もう、手遅れさ…」
 愛しちゃいけないのは解かってる。抱きしめちゃいけないことくらい、ちゃんと解かってる。



 私はあなたの敵ではない。
 あなたは私の味方ではない。
 それでも同じ、空の下────。