愛しているも言えないで

2012/12/21
Night



眠りに落ちる前、こうして寝顔を眺める時間がある。

二人で越える夜はこれで何度目だろうか。
もう数えてもいないけれど、この温もりがないと落ち着かないと思うくらいには、慣れすぎているんだろう。
キスをしてジャケットを落としてネクタイをほどいて、それからやっと名を呼ぶような、そんな即物的な行為ではあるが、拒絶されたことは恐らく一度もない。
なぜ、と訊いてみたい気もするが、答えをかけらも想像できなくて勇気が出せず、結局今に至る。

「ギノ……」

熱く触れ終えてすぐに眠ってしまう彼に、疲れさせたかと苦い思いはあるものの、泣いた痕を起こさないように拭うくらいしかできないのは、今さらどの面さげて好きだと言えばいいのか分からないせいだ。




Morning
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夜が開ける頃、こうして寝顔を眺める時間がある。

朝の少し冷えた空気に、お互い肌の温もりを探したせいかその顔はひどく近い。
そんな無意識が照れくさいほど幸福だが、同時に言いようのない後ろめたさが湧き上がる。
背を抱き合って熱くなった体温を確かめてベッドに沈み込んで、それからやっと目を合わせるような、そんな即物的な行為であるためか、きっと拒絶する暇もない。
一度くらい振り払ってくれればいいのにと思うのに、欲しがりすぎて口に出せず、今に至る。

「……狡噛」

触れようかどうしようか迷って結局いつも諦めるのは、起こしたら悪いからというもっともらしい建前で、こんな時しか好きだと言えない自分に言い訳するため。




&Day



「仕事平気か?」
「問題ない。お前は加減するからな」
「しないでいいならしねえけどな」
「休みが合えばそうしろ」


本当は気がついているんじゃないだろうか。
コイツは変に優しいところがあるから、俺を哀れに思って拒絶もしないのではないだろうか。
指を絡めるのも吐息を混ぜるのも、夜の温もりも共有するのも朝の寒さを共有するのも、すべてこの男の優しさなんだろう。


「今夜は?」
「空いてる」
「分かった」
「また後で」


それに甘えてごまかして、この先どれだけ触れ合えるのか。



おやすみもおはようも、愛しているも言えないで。