いちばん最初のクリスマス

2012/12/24



あ、と宜野座の口唇から我慢しきれなかった声が漏れる。バスルームということもあって、余計に大きく響いた。

「んんっ……」

ぐっと宜野座の中を突き進む狡噛の大きさに、耐えようとする理性が剥がれ落ちていく。

「ギノ、我慢するなよ」
「う、うるさ……っあ、ァ……」

お互いの肌に触れるまでの時間を少しでも短縮したいと、一緒にバスルームに向かったのが最初の間違い。
相手の裸を目の前に、押し殺し切れる理性なんてなかった。
肌を流れ落ちる水滴を見て生唾を飲むくらいに欲情していたお互いが、口唇を合わせるまでにそう時間はかからなかったのだ。

「……っすげえ、いい、ギノ……っ」
「うあっ、あ、あ……ぁっ」

シャワーを止める時間も惜しいというように、体が触れ合う。揺さぶられる体から、水滴が流れ落ちていく。温かな湯気で、意識がかすんでいくようだ。

「こ、……がみ、狡、噛……」

宜野座はバスルームの壁に爪を立て、遠慮なく入り込んでくる狡噛を受け入れる。
今はわずかな痛みさえ、歓喜に変わるのだ。

「狡噛、いい……そこ、あッ」

突き上げると同時に、ピンと立った乳首を摘み上げられて、もう声を抑える余裕すらない。狡噛のリズムに合わせ、素直な感情を解放するだけだった。

「どうしたんだギノ、今日はずいぶんと……積極的じゃねえか」

プレゼントが効いたのか?と荒い息で耳元に囁いてくる男に、そうかもなと笑って返す暇もなく、奥の方まで入り込まれてのけぞった。

「あァ……っ!!」

今日くらいは素直に好きだと言ってみたい。そう思っていたのに、何度も決意したはずなのに、口を開けば淫らで浅ましい喘ぎ声しか出てこないなんて。

「ギノがそうやって声出してくれんの、すげえいいな……」

興奮する、とうなじに口づけてくる男は、人の心を読みとる魔法でも使えるのではないだろうか。
こんなに浅ましい姿でも、求めてくれるのならそれでいい。
宜野座は壁についた手をぎゅっと握りしめて、

「狡……噛」
「ん? どうしたギノ、もう……イきそうか?」

「好き、だ」

せめて一言だけでも、伝えられればいいと唾を飲み込んで舌に乗せた。

「お前のことが……好きだ……っ」

クリスマスはもう終わってしまったけれど、少しでも愛する人が幸せになれますようにと、祈るような気持ちで囁く。

「……っくそ、なんで今言うかなお前は……」

うめきにも聞こえる声が耳に届き、タイミングを間違えたかと、

「ギノ、こっち向け」

思う間もなく、顎を取られて振り向かされた。

「言っとくけど俺はその3倍くらいお前のことが好きだからな。覚えとけよ」
「な、んっ……」

俺の勝ちだとでも言わんばかりの愛の告白に、そんな勝敗があるものかと、宜野座はあとになって思うのだ。
今はそう、互いに好きだと言い合った舌を絡めることにしか意識が向いていかない。

「はあっ……ぁ」

口唇を離した途端に我慢しきれなくなったのか、我慢できないから口唇を離したのかは分からないが、狡噛の両手が宜野座の腰を乱暴とも取れる仕草で抱え直す。

「ああ……ッ、あ、あ……!」
「ギノ、悪い……っ」

肌がぶつかって、体についた水滴がぴしゃぴしゃと弾け飛ぶ。

「狡噛、狡噛ぃ……っ」
「イ、きそうだ、ギノ……っ」

だけどお互いそんなことを気に留めている余裕は当然なくて、ただ相手の名を呼びながら登りつめるだけだった。

「はぁ……はぁ……っん」

達したあとは倦怠感と充足感で、お互いの力が抜けていく。やがて息が整う頃に、髪を撫で口唇を触れ合わせ視線を交わし、照れくさそうに囁き合うのだ。


好きだ、と、ただそれだけを。



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